初めて学習した人工言語がロジバンだったため、
言語学のアスペクトは結構体系的に説明してあるものだと思ったのだが、
自然言語を学習してみるとそうでもない。
考えてみると当たり前で、結局感覚で理解しなければ使いこなせないし、
各言語ごとに感覚を理解するのだから、
どんな言語にも対応するアスペクトの表現方法はあまり需要がない。
しかし、人工言語の創作においては別だ。
誰も話したことがない言語に感覚を求めるのはナンセンスだし、
作者が感覚で作ってしまえば作者の母語に影響されたものになる。
そこで、ロジバンを参考に人工言語創作に役に立ちそうなアスペクトのことをまとめて見た。
あくまで自論のため、疑問・反論はどんどんして欲しい。(ツイッター:@pianists_s)
アスペクトについて述べる前に、時制についてここで使う用語を整理しておく。
時制には過去・現在・未来があるが、過去と未来には時制の程度がある。
現在というのはちょうど現在を表していて一点だが、
過去と未来はどのくらい過去・未来なのかという程度が必要になってくる。
それをここでは時制の程度と呼ぶことにする。
実際に程度を表すときは小程度・中程度・大程度などと言う。
また、現在の一点または程度によって決められた過去・未来の一点を時制の基準点、
と呼ぶことにする。
動作には開始点と終了点がありそこに時間の幅がある。 ロジバンでいう範囲である。 ロジバンでは範囲を大きさで表しているが、 明確に範囲を表すには開始点と終了点それぞれを明示する必要がある。 開始点・終了点が時制の基準点からどの程度離れているかを明示すれば、範囲が正確に表される。 この場合も開始点が基準点から過去に大程度、 終了点が基準点から未来に小程度などと表すことにする。
時間の幅を考えず、「した」と言うことだけを言う場合もある。 この表し方を点事象と言うことにする。
点事象でなく幅のある動作を表すときには、 幅の中で1回の動作を表すのか複数の動作を表すのかと言う区別がある。 日本語や英語の現在形で表される習慣は、 複数の動作を現在から開始点が中程度、終了点が中程度で習慣的に行っていると言えるだろう。 この複数の動作が習慣的に行われるのか、 不規則的に行われるのかなどを動作の頻度と言うことにする。 ロジバンではTAhE類で表され、継続も含まれるが、 継続は1回の動作を表すためここでは含まないものとする。
幅の中で1回の動作を表すとき、 その動作がどの程度まで進んでいるのかを表すのが、動作の段階だ。 具体的には動作を開始する前の将前、 動作を開始した時の起動、 動作をしている最中の進行、 動作が完了した時の完了、 動作が終了した後の終了。 ロジバンにはこれに加えて想定された開始点・終了点とのズレを表すものや停止・再会もあるが、 言語学的に解釈できる言語でアスペクトに含まれていることはないと考えたため、割愛する。
例えば、日本語の現在形は主に時制が現在で、
時間の幅の開始点は過去に中程度、
終了点は未来に中程度、
動作の頻度が定期的・習慣的・典型的のいずれかと言える。
それに加えて、時制が小程度に未来で、
点事象であることも表す場合がある。
また、日本語の過去形は時制が程度が不定な過去で、
点事象を表すときと、
時制が現在で、
時間の幅の開始点が程度が不定の過去、
終了点が小程度に未来(現在よりは過去)で、
動作の段階が完了を表す場合がある。
(日本語の解釈は個人の意見です。)