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アルファ・ビー祖語(仮)

アルファ祖語(仮)の娘言語。ラテン語になりたかったギリシャ語のようなもの。
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アルファ祖語(仮)からの音韻変化

包括記号

アルファ祖語とアルファ・シー祖語の音韻対応より引用・追加。
記号 意味
В(キリル文字) 任意の破裂音
Ш(キリル文字) 任意の阻害音
Ф(キリル文字) 任意の摩擦音
C(以下ラテン文字) 任意の子音
任意の破擦音
Q 任意の口蓋垂音
K 任意の軟口蓋音
N 任意の鼻音
P 任意の唇音
R 任意の共鳴音
T 任意の舌頂音
U 任意の後舌母音
V 任意の母音
W 任意の接近音

規則

母音

 長母音の条件は破裂音参照。
ア祖 前ア・ビー祖 ア・ビー祖
a
a

a
ɛ ɛː
ɛ
ɛː
ɛ
i
i
iː(長短ともに長に合流)
ɒ ɒː
ɒ

a
ɔ ɔː
ɔ
ɔː
ɔ
u
u

u
y ɨ
ɨː
i(長短ともに短に合流)
ø e
ɛ(長短ともに短に合流)
œ ɛ
ɛː
ɛ
ɛː

破裂音

 語末の破裂音が脱落して前の母音が長母音になっている。 (В → ː / _#) また、有声帯気音(息漏れ音)は無声帯気音に変化し、 その後摩擦音や無声無気音に変化している。 (Вʱ → Вʰ[-voiced] / _[+voiced])
無声 有声 帯気
ア祖 前ア・ビー祖 ア・ビー祖 ア祖 前ア・ビー祖 ア・ビー祖 ア祖 前ア・ビー祖 ア・ビー祖
p p
ː / _#
p
ː
b b
ː / _#
b
ː

ː / _#
f(f → hに合流)
ː
t t
ː / _#
t
ː
d d
ː / _#
d
ː

ː / _#
t
ː
k k
ː / _#
k
ː
g g
ː / _#
g
ː

ː / _#
x
ː

摩擦音

無声 有声
ア祖 ア・ビー祖 ア祖 ア・ビー祖
f f
h / _V
v f
w / _V
s s
z / C[+voiced]_
z ɾ
ʃ ʃ
ʒ / C[+voiced]_
ʒ ʒ
x
(次の母音が長音化)ː / _V[+high]
ɣ
(次の母音が長音化)ː / _V[+high]
h
(次の母音が長音化)ː / _V[+high]

共鳴音

ア祖 前ア・ビー祖 ア・ビー祖
m m
m̩ / C_
m
a
n n n
ɾ ɾ
ɾ̩ / C_
ɾ
a
ɾV(頻繁に起こるが、この限りではない)
l l l
Vl Vl lV(頻繁に起こるが、この限りではない)

接近音

ア祖 ア・ビー祖
j i(jiはiːになる)
w w

屈折語尾の子音連結

 屈折語尾以外の通常の子音連結については各子音参照。 また、双数形や他の格に合流した格については省略する。
ア祖 前ア・ビー祖 ア・ビー祖
ps ps ss
ts ts ss
ʃ
tt ː ː
pt ut ut(末尾の場合はt脱落でuː)
ss ss ss

正書法

母音

i[i] u[u]
半広 e[ɛ] o[ɔ]
a[a]
長母音を表記する場合はマクロン(¯)。

子音

両唇音 唇歯 歯茎 後部歯茎 軟口蓋 声門
破裂 p[p] b[b] t[t] d[d] k[k] g[g]
m[m] n[n]
はじき r[ɾ]
摩擦 f[f] s[s] s[z](有声子音に後続するsは常にz) c(ア・シー祖のɕ)[ʃ] j[ʒ]/c[ʒ](有声子音に後続するʃは常にʒ) h[x] f[h]
側面 l[l]

接近音 w[w]
ssなどは単に2つ重ねてそのまま書く。

認知言語学的分類

 アルカの認知言語学的考察を参考にしている。
主観的把握 客観的把握 フェレーラ語
動詞のとらえ方 「なる」的言語 「する」的言語 主観
認知主体のあり方 感受者(有情者)(sentient) 動作主(agent) 主観
状況のとらえ方 「コト」「トコロ」的言語 「モノ」的言語 主観
存在か所有か BE言語 HAVE言語 主観
動詞の焦点 行為中心 結果中心 主観>客観
終わり志向性 なし あり 主観>客観
名詞のとらえ方 無界性(unboundedness) 有界性(boundedness) 客観
名詞のスキーマー 連続体スキーマー 個体スキーマー 客観
一人称代名詞 多様 一定 客観
敬語 発達ないし文法範疇 敬意表現 客観
代名詞の省略 多い まれ 主観>客観
非人称主語 なし あり 主観
題目か主語か 題目優先 主語優先 主観
連体修飾構造 語用論的 文法的 客観
「ここ」の捉え方 場所中心 人中心 客観
主客合体性 あり なし 客観
モダリティ表現 エピステミック デオンティック 客観
与格か間接目的語か 与格(利害の与格) 間接目的語(受け手) 主観
間接受身 あり なし 客観
動詞vs.衛星枠付け 動詞枠付け 衛星枠付け 主観
主観述語 あり なし 主観
擬声語・擬態語 多い 少ない 客観
過去時物語中の現在時制 多い(e.g. 「る」形) まれ 客観
直接・間接話法 ほぼ直接話法のみ 間接話法も発達 客観

文法

名詞

母音交替システム

 アルファ祖語(仮)の時点では、母音交替は以下のつが考えられる。
I II III
a ɛ i
ɛ i u
i u y
ɒ œ a
ɔ ø ɛ
u y i
これを規則通りに音変化させると、
I II III
a ɛ
ɛ u
u i
a ɛ a
ɔ ɛ ɛ
u i
最終的にはa開始2つとɔ開始が合流して以下のようになる。
I II III
a ɛ
ɛ u
u i
u i
名詞の格変化では、主格がI語幹ではなくII語幹なので注意が必要。 (ただし、無標は主格のため借用語等の語幹は主格をもとに作られる。) また、それぞれの語幹を以下-I-・-II-・-III-と表す。

 双数形は複数形に吸収された。

 アルファ祖語(仮)から、具格と処格が与格に統合し、単独格が主格に統合した。 属格ができた。 題目格が出来た。

屈折形

 以下、数と格による屈折の表。
単数 複数
主格 -II-os -II-epos
題格 -I-ī -I-epī
対格 -III- -III-ē
与格 -III-s -III-ess
奪格 -I-cun -I-eucun
属格 -I-tō -I-eutō

例 : fefaohos /hɛháɔxɔs/「風」(語幹はfefaoh)
単数 複数
主格 fefaohos fefaohepos
題格 fafaohī fafaohepī
対格 fīfaō fīfaohē
与格 fīfaohs fīfaohess
奪格 fafaohcun fafaoheucun
属格 fafaohtō fafaoheutō

代名詞

人称代名詞
一人称 二人称 三人称(有生)
単数 複数 単数 単数敬称 複数 単数 複数
主格 ale meros ēfos wīcos fukos lidos tudos
題格 alī marī āfī wuc fīkī ludī tīdī
対格 alī mīr īf wic fi ti
与格 alīs mīrs īfs wics fiks līds tids
奪格 alcun marcun āfcun wuccun fīcun lūcun tīcun
属格 altō martō āftō wuctō fītō lūtō tītō

指示代名詞と事象代名詞
近称(これ) 中称(それ) 遠称(あれ) 事象(こと)
単数 複数 単数 複数 単数 複数 単数 複数
主格 biu biū wiu wiū giu giū eiē
題格 biepī wiepī giepī aiepī
対格 ī īē
与格 bīs bīsē wīs wīsē gīs gīsē īs īsē
奪格 bīcun biēcun wīcun wiēcun gīcun giēcun aīcun aiēcun
属格 bītō bieutō wītō wieutō gītō gieutō aītō aieutō

疑問詞
無生 場所 有生 形容詞
主格 īlī ulīc tilī īliā
対格 ulī tīlī uliā
与格 ulīs ilīcs tīlīs uliabs
奪格
属格 elīto īlīcto tulīto eliāto

副詞 eliā

動詞

人称変化

 フェレーラ語は主題優勢言語であるため、 動詞の人称は主語ではなく主題の人称を表わしている。 よって、「僕はうなぎだ」 といううなぎ文の場合、動詞の人称は一人称単数である。
 活用の詳細については下記参照。

時相制

 アルファ祖語(仮)と同じく、定頻形、進行形、完了形、完結形、未来形の5つがあるが、 意味が少し異なる。
意味・用法
定頻 定期的なことや習慣的なことについて表すが、未来のことは表せない。
進行 動作が進行中であることを表す
完了 今さっき終わったことについて述べる。状態動詞の場合は「〜になった」程度の意味。
完結 いわゆる英語の過去形。過去時制の点事象。
未来 まだ起こっていないことについて述べる。推測ではなく、決定的であったり意志的である側面が強い。

屈折形

能動態の完了形にはɾidiʃ(ɾad処格) > ɾiːdiːʃの縮約であるɾiː(rī)がつく。 それに伴って完了形の一人称単数は接尾辞sが脱落する。 また、完結形の一人称単数と二人称単数はet→e:となる。(もちろん長母音なのでアクセントが移動)
 以下、屈折形を示す。

能動態
不定 単数 複数
1人称 2人称 3人称 1人称 2人称 3人称
定頻 -I-re -I-s -I-ef -I-e -I-ī -I-rī -I-ac
進行 -II-re -II-s -II-ef -II-e -II-ī -II-rī -II-ac
完了 ɾī-III-re ɾī-III-s ɾī-III-ef ɾī-III-e ɾī-III-ī ɾī-III-rī ɾī-III-ac
完結 -III-tre -III-ē -III-ē -III-te -III-tī -III-trī -III-tac
未来 -I-sre -I-ss -I-sef -I-se -I-sī -I-srī -I-sac
受動態
単数 複数
1人称 2人称 3人称 1人称 2人称 3人称
定頻 -I-ubs -I-ubef -I-ube -I-ubī -I-ubrī -I-ubac
進行 -II-ubs -II-ubef -II-ube -II-ubī -II-ubrī -II-ubac
完了 -III-ubs -III-ubef -III-ube -III-ubī -III-ubrī -III-ubac
完結 -III-ubē -III-ubē -III-ubte -III-ubtī -III-ubtrī -III-ubtac
未来 -I-ubss -I-ubsef -I-ubse -I-ubsī -I-ubsrī -I-ubsac

不規則動詞

uhatre「〜だ(一時的なコピュラ)」
不定 単数 複数
1人称 2人称 3人称 1人称 2人称 3人称
定頻 ukatre kass ukatef kate ukatī ukatrī ukatac
完了 faukīre fakīas faukīef fakīe faukī faukīrī faukīac
完結 ukīre kītē ukītē kīe ukī ukīrī ukīac
未来 ukassre ukass ukassef kasse ukassī ukassrī ukassac

 完了形は過去を意味するb"avが変化しfaになったものが頭につく。 完了形はコピュラや状態動詞においては「(〜に)なる」という意味になる。 未来形の一人称は弁別のためuが脱落しなかった。

bapre「〜だ(恒常的なコピュラ)」
不定 単数 複数
1人称 2人称 3人称 1人称 2人称 3人称
定頻 bapre baps bapef bape bapī bapri bapac

 恒常的なことを表すため、意味的に時制は存在しない。

atre 「ある」
不定 単数 複数
1人称 2人称 3人称 1人称 2人称 3人称
定頻 atre ass atef ate atī atrī atac
進行 etre ess etef ete etī etrī etac
完了 faitre faitas faitef faite faitī faitrī faitac
完結 īre itē itē ite itī īrī īac
未来 assre ass assef asse assī assrī assac

助動詞

 動詞の不定法を取ることができる動詞。 人称変化などの屈折形は動詞と同じ。 また、「動詞の不定法+eai(の対格など)」をとる動詞とは区別される。

形容詞

叙述系と限定形

 形容詞には叙述形と限定形がある。 叙述形はコピュラ動詞や補語をとる動詞と一緒に用い、 限定形は名詞を修飾するときに用いる。 前置で修飾する。

 形容詞は修飾する名詞の数によって活用する。

屈折形

原級
叙述形 限定形
単数 複数 単数 複数
主格 -II- -II-ē -II-rī -II-eprī
題格 -I-ī -I-epī -I-rī -I-eprī
対格 -III- -III-ē -III-rī -III-eprī
与格 -III-s -III-ess -III-srī -III-essrī
奪格 -I-cun -I-ē -I-trī -I-eutrī
属格 -I- -I-ē -I-rī -I-eprī

比較級
叙述形 限定形
単数 複数 単数 複数
主格 -II-ē -II-epē -II-ī -II-epī
題格 -I-ē -I-epē -I-ī -I-epī
対格 -III-ē -III-epē -III-ī -III-epī
与格 -III-sē -III-essē -III-sī -III-essī
奪格 -I-tē -I-eutē -I-tī -I-eutī
属格 -I-ē -I-epē -I-ī -I-epī

最上級
叙述形 限定形
単数 複数 単数 複数
主格 -II-ra -II-epra -II-re -II-epre
題格 -I-ra -I-epra -I-re -I-epre
対格 -III-ra -III-epra -III-re -III-epre
与格 -III-sra -III-essra -III-sre -III-essre
奪格 -I-tra -I-eutra -I-tre -I-eutre
属格 -I-ra -I-epra -I-re -I-epre

副詞

 副詞は格にも数にも影響を受けず、無変化である。 形容詞にかかる場合は形容詞の直前に置かれ、 動詞にかかる場合は目的語の後に置かれるが、例外がある。

否定文

 否定文は全部否定の副詞bāで作る。 動詞の前にこれを置く。 動詞の活用等は肯定文と変わらない。

形態素

接尾辞

 アルファ祖語(仮)は動詞から主格名詞、対格名詞、事象名詞を作ることができたが、 アルファ・ビー祖語(仮)では対格名詞の接尾辞は造語力を失った。 また、母音調和の様なシステムがなくなり、 主格名詞の接尾辞は-egʱ > -ēのみとなった。 また、接尾辞ēで作られた名詞は-os・-s・-cun等が現れず、 題格では-ēが-ī・-ehīに変わり、それ以外は母音交替のみで格を示す。 複数形は-ēが-ehēに変わる。